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マムシやハブに嚙まれたら?ヘビの特徴と応急処置

毒蛇に噛まれたときの対処 アウトドア

結論

今回のポイント

①日本にはマムシ、ハブ、ヤマカガシの3種類の毒蛇が生息している
②咬み痕からのみの診断は困難であるため、噛まれた蛇の特徴を覚えておく!
 医師は噛まれた跡からヘビの種類までわかりません。
③マムシ、ハブ、ヤマカガシの根本的治療は抗毒素の投与
④患部を縛るのは逆効果、吸引の効果は医学的には検証されていない
⑤噛まれた時間をはっきりさせ、腫れの具合がわかるように、写メで撮っておく

毒蛇の治療は基本的には抗毒素の投与のみとなっています。ですので、なるべく早く病院に行く必要があります。それまでにできる対処はほとんどありません。 病院の医師もヘビの専門家ではないため、噛み跡だけでは判断がつかないのです。病院に行ったときに、正確に情報を伝えられるかが鍵になります。

※この記事を作成にあたっては、以下の文献を参考にさせていただいています。

参考文献

北澤康秀ら:毒ヘビ咬傷概論,近畿大医誌,第42巻3.4号 79~84,2017.
園崎哲ら:危険生物による咬症あるいは刺症,成人病と生活習慣病,46巻1号,2016.
入江聰五郎:毒蛇に噛まれたら,治療VoL100.No2.2018.

ヘビと毒蛇の見分け方はこちらの記事も参考にしてみてください。

日本の蛇の種類

日本には有名なマムシ、ハブ、ヤマカガシと3種類のヘビがいるが、北海道にはマムシしか生息しておらず、熱帯地域にはハブ、北海道・沖縄以外にヤマカガシ、全域でマムシが生息しています。

ヘビの毒の致死量について

・ハブ毒:65mg/kg
・マムシ毒:31mg/kg
・ヤマカガシ毒:5mg/kg

ヘビの年間死亡数

・ハブ:ピークで年間500例が被害。2000年以降に限っては死者の報告例はみられない。
・マムシ:年間3000人が被害を受け、死亡率は約0.5%。
・ヤマカガシ:死亡報告は1972年以降4例。

ヘビ毒の毒性に関しては、ハブ毒が最強との印象があります。それは、ハブの体長が140cmと体格が大きく,凶暴な性格も相まって一回でも噛まれると毒の注入量がはるかに多くなるためです。しかし、毒の強さはヤマカガシが一番なので一概にどれが一番危険かは言い切れません。

ヤマカガシの特徴

特徴

・体長60~120cmで赤と黒の斑紋が特徴的。全体の色調は生息地域によって異なる。
・頭部は小さく瞳孔は円形、毒牙は上顎の奥の方にある。
・ニホンマムシと比べて棲息数が多いため、人との出会いは多い。
・河原・竹林・水田・畑などに多く生息し、特に水場を好み、カエルなどを捕食している。
・昼行性。
・性格はきわめて臆病で攻撃的に噛みついて来ない。動作が緩慢。
・噛み跡は2か所、すぐに腫れない

ヤマカガシの牙

ヤマカガシの毒は、受傷後数時間から1日ほど経過した後になってから出血傾向が現れます。そのため、すぐに腫れないのでわかりにくいです。 出血毒がメインで全身の出血や脳出血での死亡例があります。ただ、奥歯までしっかりと長時間の噛みつきが続き、その傷に十分量の毒液が毒腺から垂れ込んで初めて毒性咬傷が成立することになるので、重篤例の発生頻度は実際には低いようです。

マムシの特徴

特徴

・全長40~80cm程度の小型。
・胴まわりが太く,尾は短い、頭部は吻端を頂点とする三角形のとがった形状。
・水辺を好み、河原・竹林・水田・畑などに多く棲息。
・体は灰白色~暗褐色で,背部に丸い模様(銭形模様)があり,その中央に暗色の斑点がある。
 地域により違いがある。伊豆大島や八丈島ではアカマムシがいる。
・夜行性。
・噛み傷は1か所から数か所、20~30分以内に必ず腫れる。

マムシの牙

マムシの毒は噛まれた直後から腫局所症状から始まり、消化器・神経・循環器・腎臓に至るまで様々な症状がおこります。局所の症状としては、咬傷創部の腫脹および毒の作用により局所の筋壊死をきたすことがあり、これが後遺症の原因となります。夜行性ですが、草村など寝ているところに人が行き噛まれることが多いようです。

ハブの特徴

特徴

・全長1~2mで,頭部は大きく長三角形をなす。
・黄褐色から暗褐色の不規則な斑紋がある
・人家周辺や山林まで幅広い環境に生息。
・夜行性
・噛み傷は2か所、20~30分以内に必ず腫れる。

ハブの牙

 ハブの毒はマムシ同様に直後から腫れ初めます。局所の症状としては咬傷創部の腫脹および毒の作用により、局所の筋壊死をきたすことがあり、これが後遺症の原因となります。全身症状がみられる症例は重篤な経過をたどります。

応急処置・対処方法

推奨

・水で洗う
・患部を動かさない
(場合によっては固定)

やってもよいが効果は不明

・ポイズンリムーバー

非推奨

・患部を縛る
・口で毒を吸い出す

 吸引については吸引器を用いた毒の吸引では、十分に毒が吸引されず有用でないとされる文献報告もみられています。また口で吸引する行為については救助者の口腔内の傷や虫歯から救助者への毒の移行が懸念されており、奨められません。緊縛については蛇毒を局所にとどめることで損傷を人きくする危険性が高くなるため勧められていません。また、走ったりする行為は毒が急速に全身に回る可能性があるため静かに行動するようにしましょう。
 病院に行くまでにかなり時間がかかる場合には、包帯などで骨折時のように患部の前後を含めて広く巻いて固定するクレープバンデージ法が勧められています。その場合も圧迫が強くなるため、ときどきチェックして調節する必要があります。

さいごに

調べてみると、意外と知られていない内容が多い気がします。漫画などの影響で勝手に「縛るべきだ」なんて思って今う人も多いと思います。あいまいな知識で逆効果にならないよう、正確な知識で安全なアウトドアライフを楽しみたいですね。

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