結論
毒蛇の治療は基本的には抗毒素の投与のみとなっています。ですので、なるべく早く病院に行く必要があります。それまでにできる対処はほとんどありません。 病院の医師もヘビの専門家ではないため、噛み跡だけでは判断がつかないのです。病院に行ったときに、正確に情報を伝えられるかが鍵になります。
※この記事を作成にあたっては、以下の文献を参考にさせていただいています。
北澤康秀ら:毒ヘビ咬傷概論,近畿大医誌,第42巻3.4号 79~84,2017.
園崎哲ら:危険生物による咬症あるいは刺症,成人病と生活習慣病,46巻1号,2016.
入江聰五郎:毒蛇に噛まれたら,治療VoL100.No2.2018.
ヘビと毒蛇の見分け方はこちらの記事も参考にしてみてください。
日本の蛇の種類
日本には有名なマムシ、ハブ、ヤマカガシと3種類のヘビがいるが、北海道にはマムシしか生息しておらず、熱帯地域にはハブ、北海道・沖縄以外にヤマカガシ、全域でマムシが生息しています。
ヘビ毒の毒性に関しては、ハブ毒が最強との印象があります。それは、ハブの体長が140cmと体格が大きく,凶暴な性格も相まって一回でも噛まれると毒の注入量がはるかに多くなるためです。しかし、毒の強さはヤマカガシが一番なので一概にどれが一番危険かは言い切れません。
ヤマカガシの特徴
ヤマカガシの毒は、受傷後数時間から1日ほど経過した後になってから出血傾向が現れます。そのため、すぐに腫れないのでわかりにくいです。 出血毒がメインで全身の出血や脳出血での死亡例があります。ただ、奥歯までしっかりと長時間の噛みつきが続き、その傷に十分量の毒液が毒腺から垂れ込んで初めて毒性咬傷が成立することになるので、重篤例の発生頻度は実際には低いようです。
マムシの特徴
マムシの毒は噛まれた直後から腫れ局所症状から始まり、消化器・神経・循環器・腎臓に至るまで様々な症状がおこります。局所の症状としては、咬傷創部の腫脹および毒の作用により局所の筋壊死をきたすことがあり、これが後遺症の原因となります。夜行性ですが、草村など寝ているところに人が行き噛まれることが多いようです。
ハブの特徴
ハブの毒はマムシ同様に直後から腫れ初めます。局所の症状としては咬傷創部の腫脹および毒の作用により、局所の筋壊死をきたすことがあり、これが後遺症の原因となります。全身症状がみられる症例は重篤な経過をたどります。
応急処置・対処方法
・水で洗う
・患部を動かさない(場合によっては固定)
・ポイズンリムーバー
・患部を縛る
・口で毒を吸い出す
吸引については吸引器を用いた毒の吸引では、十分に毒が吸引されず有用でないとされる文献報告もみられています。また口で吸引する行為については救助者の口腔内の傷や虫歯から救助者への毒の移行が懸念されており、奨められません。緊縛については蛇毒を局所にとどめることで損傷を人きくする危険性が高くなるため勧められていません。また、走ったりする行為は毒が急速に全身に回る可能性があるため静かに行動するようにしましょう。
病院に行くまでにかなり時間がかかる場合には、包帯などで骨折時のように患部の前後を含めて広く巻いて固定するクレープバンデージ法が勧められています。その場合も圧迫が強くなるため、ときどきチェックして調節する必要があります。
さいごに
調べてみると、意外と知られていない内容が多い気がします。漫画などの影響で勝手に「縛るべきだ」なんて思って今う人も多いと思います。あいまいな知識で逆効果にならないよう、正確な知識で安全なアウトドアライフを楽しみたいですね。
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